木造の戸建住宅のリノベーションでの耐震工事の基礎知識

リノベの基礎知識(戸建住宅編)

投稿日:2019年7月12日 | 最終更新日:2023年7月20日

戸建住宅をリノベーションする場合、特に木造住宅はリノベーション時にあわせて「耐震」についても考えたほうがいいです。耐震工事には、色々な方法があるんですが一番工事的にしやすいのが「耐力壁(タイリキカベ)」という壁を増やす事です。

木造戸建て住宅は、筋違(すじかい)という物があります。これが「耐力壁」になるんですね。この耐力壁は、床の面積や屋根の材質などを元に計算されてバランスよく元々入っています。なので新しくこの耐力壁を追加する場合は、きちんともう一度計算してバランスよくいれるのが、本当は正しいんです。

更にこの耐力壁には、色々取り決めがあります。耐力壁として認められる長さや工法といった所です。

まず耐力壁には、上記の様に取り決められています。一般的に良く使われているのが、45×90という材料です。これは筋違の材料の縦と横の長さを示します。そして筋違を片がけするのかたすき掛けするのかによって所定の倍率が決められています。例えば柱と柱の間隔が90センチの場合で、筋違を片がけした場合はどうなるかというと

90センチ(柱と柱の間隔)×2.0(45×90筋違片がけの倍率)=180

となるわけですね。更に筋違は、片かけ筋違と構造用合板(面材耐力壁)とを合算できるというのもあります。

90センチ(柱と柱の間隔)×(2.0(45×90筋違片がけの倍率)+2.5(構造用合板の倍率))=405

といった具合にそれぞれの筋違を合算させた方が、数値が大きくなり強くなるということなんですね。それじゃ「倍率を大きくすればいいんじゃないか」と考えてしまう訳ですが、そうではなくこの「合わせられる倍率の限度」が決められています。それぞれの倍率を合算して「5」を超える場合は、「5」と計算するという取り決めがあります。

例えばたすき掛けの4.0倍と構造用合板の2.5倍を合算すると、6.5倍になるので「5」を超えるので「5倍」までしか認めません。ということなんですね。

でここからが本題。木造の戸建住宅のリノベーションでこの「耐力壁」を増やすのが工事的にはしやすいということなんですが、その中でも「構造用合板」という耐力壁を追加していくのがもっともしやすい方法なんですがここで「注意」が必要。今ある筋違が、「たすき掛け」の所にこの「構造用合板」の耐力壁を取り付けてもあまり意味がない。という事で、逆に柱の欠損が多くなりもろくなってしまうという事も起こりえます。

この「構造用合板」の耐力壁を取り付けるなら、片かけ筋違の部分かもしくは筋違の無い所に取り付ける方が良いです。また筋違のない所に構造用合板の耐力壁を取り付ける場合も、柱と柱の間隔の長さが60センチ以上と決められているので、それ以下の所に取り付けても意味がないので、これまた注意が必要なんですね。

こうやって見てみると、結構複雑なのでただ単にバランスよく追加したらいいという物でもないんです。今戸建住宅のリノベーションも取り扱っている所が増えてきています。それに伴い耐震工事で耐力壁を取り付けている工事風景などもよくみますが、意味の無い所に取り付けているのも多々あります。

耐力壁は、増やせば強くなる。という考えは間違いで「適材適所」尚且つバランスよくが基本です。変に増やしすぎると柱や構造部材の欠損が増えてしまい、弱い家になる場合もあります。

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