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マンションの構造を知ることがリノベーションの初めの一歩

マンションでのリノベーションでは、建物の構造によってその後のリノベーションが大きく変わります。マンションの構造を知ることは、リノベーションでの基本を知ることです。これからリノベーション専門の一級建築士が、マンションの構造について解説していきます。

マンションの構造は大きく分けて2つ

マンションの構造は大きく分けて2つです。1つ目は鉄筋コンクリート造、2つ目は鉄骨鉄筋コンクリート造とわかれます。

このうち鉄筋コンクリート造は鉄骨を格子状に組んでコンクリートを流してつくる工法で、鉄骨鉄筋コンクリート造は鉄筋コンクリートの中に鉄骨と言う部材をいれた工法で主に高層階のマンションに採用されている工法です。

この2つの構造をさらに分けることができ、壁式構造とラーメン構造という構造に分類することができます。壁式構造は、低層のマンションに多く採用されていて特徴は「柱がなく壁と梁で構成されている」と言う点です。ラーメン構造は、6階以上のマンションに多く採用されていて特徴は「柱と梁で構成されている」という点です。マンションのほとんどがこのラーメン構造という構造で建てられています。

壁式構造のマンションの特徴

壁式構造(かべしきこうぞう)とは、文字通り「壁」と「梁」で形成された構造方法です。比較的5階ぐらいまでのマンションに多く採用されている構造方法です。この壁式構造かどうかを見分けるポイントは、住戸の四隅に「柱」があるかどうかで見分けれます。柱がなければ、ほぼほぼ「壁式構造」です。また部屋と部屋の間の壁が、他の壁に比べて以上に厚みがある場合も「壁式構造」で建てられている。といってもいいでしょう。

さてこの「壁式構造」という構造方法ですが、リノベーションの際には「かなり制約が出る」という事が言えます。壁式構造は、壁と梁で建物を形成しているため「これらの壁を一切取ることはできない」という欠点が出てきます。その為部屋と部屋を1つの部屋にしたいとなった時に、この壁が部屋と部屋の間にあると1つの部屋にすることは不可能です。

その為既存の間取りから新しく間取り変更する場合、かなりの制約を受けてしまう。という事が言えます。但し決して間取り変更ができないのか?という訳ではなく、構造上重要な「壁」を残しつつ間取りを変更することは多少できます。

ラーメン構造のマンションの特徴

ラーメン構造のマンションは、壁式構造が低層のマンションに多いのに対して中高層のマンションに採用される構造方法です。壁式構造が「壁と梁」で構成される構造方法に対して、ラーメン構造は「柱と梁」で構成されています。ラーメン構造は、部屋の四隅(外周回り」に柱が配置されているために「柱型(はしらがた)」があるかどうかで見分けれます。

壁式構造の様に部屋と部屋の間に重要な壁がない、ラーメン構造のマンションは、リノベーションでの間取り変更の自由度が高いため比較的希望通りのリノベーションがしやすいといった構造です。しかしラーメン構造のマンションでも、デメリットはあり四隅に配置された「柱」が比較的大きいために、部屋内に柱型が出てきてしまうという点があります。

またマンションの下階になればなるほど、「梁」の高さが大きくなるために部屋内に「梁型」という梁の形が見えてくる場合もあります。

壁式構造のメリット

壁式構造のメリットは、柱がないので部屋の内側に出っ張りがあまりないという点があり間取りの点から考えるとすっきりした間取りとなりやすいです。

壁式構造のマンション

また天井などもコンクリートに直接クロスなどが張られている場合が有る為、解体する範囲が少ない場合が多いという事もあり解体費用が少なくて済む場合もあります。その他にも壁式構造で建てられた中古マンションは、比較的築古物件が多いので、物件価格が安い場合もあります

壁式構造のデメリット

壁式構造のデメリットは、メリットでもあった柱が無い分取れない壁があるという事です。取れない壁がある分間取り変更に大きく制約が出る場合が多いです。また共用の配管や排水といったインフラも室内に見えてきていたりする場合もあり、壁式構造は築古物件が多いのでこういったインフラの影響も間取り変更に制約を受ける点のひとつです

メリットでもあったコンクリートに直接天井の仕上げがされている場合が多いので、それ以上天井の高さを上げることはできないという点とエレベーターが無い場合も多いので、材料の搬入費用などが高くなる場合が多いです

ラーメン構造のメリット

ラーメン構造のメリットは、柱と梁の他に共用部以外はすべて撤去できるので間取りの変更の自由度が高いという点です。

ラーメン構造のマンションのデメリット

また排水や共用の配管もその後のリフォームを想定して建てられている場合も多いので間取りに影響を受けにくいという点もあります。壁式構造でなかったエレベーターもある物件が多く、材料の搬入費用が特別高くなるということも少ないです

ラーメン構造のデメリット

ラーメン構造は、柱や梁、共用部以外はすべて撤去できるため解体する範囲が多くなり解体費用が高くなる場合があります。解体費用を抑える方法として、使える既存の壁を再利用したり床材を下地材として利用していくなどする方法があります。

また物件価格も壁式構造のマンションに比べて高い場合が多く、物件価格に予算を取られてその後のリノベーションが希望通りにできないという場合も出てきたりします。その為物件だけにとらわれずその後のリノベーションで間取りが変わることも想定して、中古マンションを選ぶようにするほうがよいでしょう。

壁式構造とラーメン構造どっちがリノベでは良いのか??

リノベーションを前提で中古マンションを購入する際に、壁式構造のマンションとラーメン構造のマンションではどちらがリノベーションに向いているのか?という質問をよく聞きます。一般的には、間取り変更の自由度が高い「ラーメン構造」の方が良いと言われています。

しかしこれは単なる間取り変更の自由度が高いという理由だけではなく、中古マンション(新築も含め)市場で、低層階のマンションが圧倒的に少ないという事も関係しています。

またラーメン構造の方が壁式構造より間取り変更を伴うリノベーションに向いているという事であって、決して壁式構造は「リノベーション出来ない」という事ではないです。単に間取り変更の自由度に制限がでてくるというだけで、間取りは大きく変えず内装などに拘りたいというリノベーションを考えている方には、選択肢のひとつとして検討するという方法もあります

中古マンション購入前には「プロ」に見てもらいましょう

中古マンションを購入するときには、壁式構造かラーメン構造かをまずは見分けるのが大事ですがその他にも水回りの位置や分電盤の位置、床の仕上げ方法などチェックするところが沢山あります。めぼしい中古マンションがあれば、建築士などの「プロ」に一度現地を確認してもらうことをお勧めします。また出来るのであれば事前に、そのマンションの図面などを入手しておくのも良い方法です。

まとめ

ラーメン構造と壁式構造のメリット・デメリットをみてきましたが、それぞれにメリットデメリットがあります。壁式構造は解体コストなどで費用を抑えられたり、ラーメン構造は間取りの自由度が高かったりとそれぞれ一長一短です。

ただリノベーション前提でと考えた場合、ラーメン構造の方がリノベーションしやすい構造といえます。ただし壁式構造だからリノベーションには不向きという訳ではなく、壁式構造のマンションには壁式構造でしかできないリノベーションの醍醐味や考え方などがあり、決してリノベーションに不向きという訳ではないです。

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