なぜ?マンションリノベで断熱工事が必要な理由

リノベの基礎知識(マンション編)

投稿日:2023年1月20日 | 最終更新日:2023年8月2日

マンションをリノベーションする時に、一緒に工事しておきたいのが「断熱工事」です。マンションで断熱がなぜ必要なのかをこれからリノベーション専門の一級建築士が解説していきます。これを読んだん後にマンションにも断熱工事が必要な意味がわかると思います

マンションに断熱工事をする意味

マンションで断熱工事?と思われる方が多いと思います。一戸建て住宅では、断熱材が施工されていますがマンションの場合あまり断熱材が施工されていない場合が多いです。現在の新築マンションでは、断熱材も施工されてきていますが、中古マンションの場合施工されていない場合が多い傾向にあります。その理由としてマンションの場合、外気に接する場所が少ない。という理由からです。

マンションの多くが鉄筋コンクリートと言う構造で作られています。鉄筋コンクリートは、断熱性が無いうえに蓄熱性能があります。この蓄熱というのが問題で、夏の昼間の熱が日中に鉄筋コンクリート内に溜まり涼しくなる夕方ごろを境に部屋内に放出されていきます。夏の夕方以降に外出先から帰ると、熱さを感じるのはこの現象が原因です。また冬はその逆で、夜にため込まれた冷気が朝がたから日中にかけて放出されます。これがマンション特有の熱さ・寒さの原因です。

カビや結露の発生率も高いマンション

「マンションは一戸建てに比べて暖かい」とよく言われますが、これは断熱材の有無とはあまり関係なく、マンションの構造上の問題で鉄筋コンクリートは比較的隙間なく建てられ、木造住宅の様に隙間がある建物に比べて隙間が無い分、隙間風が入りにくい為です。この隙間がないという事が、マンションで多く見られるカビや結露の原因です。

カビや結露が起こる現象は外気温と室内温の温度差が激しく違う為に起こり、お風呂上がりの洗面所や冬の窓際や外気に面する壁などでカビや結露が多く見られるのはこのためです。

これらを解決するには、外気温と室内温の差を極力小さくしてあげる。という事ですが、既に建っているマンションのコンクリート部分は壊すことが不可能ですので、部屋の内部から対策してあげることがカビや結露を防ぐ重要な要因となってきます。

マンションで多発カビの問題!それリノベで解決!

マンションの断熱材と方法

断熱材の種類や方法は沢山あります。大きく分けると「湿式」と「乾式」という方法に分かれます。乾式と言われる断熱施工方法は、一般によく使われているグラスウールと言う素材やボード状になった発砲スチロールのスタイロフォームと言われる断熱材を壁や天井・床に敷き詰めて行く方法です。

マンションのカビ対策

その一方で「湿式」と言われる断熱施工方法は、ウレタンフォームと言う泡状の物を専用の機械などを用いて吹き付ける方法です。乾式の場合はマンションの階数や敷地の広さなどに関係なく施工できますが、湿式の場合は、トラックに積まれた専用の機械からホースを接続し室内までホースを伸ばさなくてはいけなくなるため、マンションの敷地内にトラックが止めれるスペースと8階以下ぐらいまでしか対応できないという点があります。

断熱性能の点からみると湿式のウレタンフォームなどの吹付断熱の方が断熱性のは高いですが、その分コストが高くなりまた専門業者に依頼しなくてはいけないという点から、費用的には乾式に比べて高くなります。

本来は湿式のウレタンフォームなどの断熱材を施工したほうが断熱工事としては優れていますが、全てのマンションで施工が出来るかと言うとできない場合も多々あります。その為マンションの断熱性能を今より良くするには、最低限でも乾式方法という断熱工事をしておく方が良いと思います。

窓の断熱対策

壁や天井などを断熱したから安心。と思いがちですが、外気が入る場所は他にもあり窓の断熱対策も重要になってきます。窓の対策として最も効果的なのは、ガラスを断熱性のあるガラスに交換する事とサッシを樹脂と言われるサッシなどに交換することです。

例えばガラスは、中古マンションのほとんどが「単板(タンパン)ガラス」と言われる1枚のガラスの場合が多いです。これを断熱複層ガラスと言われる数枚のガラスで構成されたガラスに交換することで、断熱性能を向上することができます。

しかしマンションの窓やサッシは、共用部に該当してくるために交換がほとんどできません。管理組合の許可があれば交換は可能ですが、現実問題として難しいです。そこで登場するのが、「内窓」と言われる今の窓の室内側にもう一つ窓を設ける方法です。この方法は、比較的作業自体も容易で断熱性能を向上できる方法です。

しかしこの方法にもデメリットがあり、窓を開ける時に一旦内窓を開けて元々の窓を開けなくてはいけなくなる。と言う点と若干室内側に内窓が出てきてしまう。という点があります。

これ忘れてませんか?マンションリノベの取入れるべき内窓とは?

洗面所や脱衣室の対策

洗面所や脱衣所は、マンションの部屋の中でも最も結露やカビが発生しやすい場所のひとつです。洗面所や脱衣所は、どちらかと言うと断熱対策より結露やカビ対策と言った方が良いのかもしれません。マンションの場合、洗面所や脱衣所に窓があるマンションは、比較的少なく天井にある換気扇のみというマンションが多いです。

洗面所や脱衣所は、お風呂に隣接されて配置されるのでどうしてもお風呂の上りの熱気が流れ込みやすいです。結露やカビを防ぐには、この熱気を如何に早く外に出すか?が鍵になってきます。

窓があれば窓を開けてあげるという方法が一番熱気を早く外に放出できますが、マンションの場合、ほとんどが窓がなく換気扇での対応となってきてしまいます。これは両サイドに住戸があるマンションの構造上致し方がないことなのかもしれません。

窓を開けて換気するのに比べて、換気扇での換気は少し劣ってしまいます。その為換気扇を付けていても洗面所や脱衣所が結露やカビが発生しやすくなってしまいます。窓を新しくつけたり、今ある窓を利用できれば最も良い方法ですが、マンションでは難しい所です。

こういった事が出来ないのであれば、せめてカビや結露の発生を少なくする様に内装の仕上げ材に工夫をして対策するのが良いかと思います。洗面所や脱衣所は、ビニールクロスで仕上げるのではなく、調湿効果のある珪藻土や漆喰などで仕上げカビや結露の発生を少なくしてあげる方法が良いと思います

まとめ

マンションのリノベーションでは、断熱対策という工事は少し疎かになりがちです。断熱対策をしなくてもエアコンや暖房器具で対応すれば問題ないのかもしれません。しかしこれから光熱費などもどんどん上がってくる傾向です。断熱対策を少し考えるだけで、多少の熱さ寒さはエアコンや暖房器具に頼らなくても良いようになります。

また断熱対策を住んでから考えようと思うと、壁や天井などを壊さないといけなくなり工事が大掛かりになってきます。リノベーションする時に一緒に断熱工事をしておけば、後々大掛かりな工事をしなくて済みます。またリノベーション後の快適性にも大きく左右されてくる場合もありますので、リノベーションの際にはより良い住まいにするための断熱対策も考えてみては如何でしょうか。

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