戸建住宅リノベでモルタル土間!大丈夫?【建築士が解説】
投稿日:2023年6月29日 | 最終更新日:2023年7月20日
戸建て住宅のリノベーションで玄関続きの「土間」を作りたいと言うご要望が多いです。戸建て住宅の中でも「木造」で土間を作るというには、少し注意点があります。今回はリノベーション専門の一級建築士が玄関続きの「土間」を作る場合の注意点についてご説明していきます。
玄関続きの土間を作るには「構造上問題ないか」が重要
まず木造住宅は、柱・梁・土台・基礎で家を支えています。これらを主要構造部といいます。屋根の力を2階の梁が支え、その力を2階の柱が支え、その力を1階の梁が支え、そして1階の柱・土台・基礎と下に行くにつれ、負荷が掛かってきます。すべての力は、最終的に基礎が受けている。という所がポイントです。
基礎は、建物の中でも重要な構造です。木造住宅で、玄関続きの土間を作るときに必ずと言っていいほど邪魔になってくるのが、この基礎です。玄関は1階の床から数センチ下げて作られている場合がほとんどです。1階の床と玄関との段差の境目(框)部分は、コンクリートブロック(CB)という物で作られている場合が多いです。
この場合、CBは取っても問題ありません。しかしごくたまに基礎で作られている場合があります。この場合は、少し検討が必要です。その理由として、ほとんどの基礎は「べた基礎」と言われている他の部分の基礎と一体で作られています。そしてコンクリートで覆われた基礎の中には、鉄筋が配置されています。
この鉄筋の役割は、コンクリートの強度を増すために配置されているのがひとつの要因です。またもうひとつ間仕切壁といわれる部屋と部屋の間の壁の下には、必ず基礎が配置されています。
基礎は壊しても大丈夫なの??
玄関続きの土間を作るとき、この「基礎」を取らなくてはいけない。という所が問題になってきます。しかしこの基礎は、上からの力を最終的に受けている点と他の基礎と一体でしかも中には鉄筋が入っている。という問題があります。
その邪魔になっている基礎を取ってしまえば、玄関続きの土間ができるのではないか。と思うかもしれませんが、そう簡単ではありません。主要構造部である一部を取ることは、元々受けていた力が何処かに逃げていきバランスを崩してしまう可能性もあります。その為、主要構造部の梁や柱・基礎などを取るときは、元々の受けていた力を再度受けなおす様に配慮しなくてはいけません。
基礎を取るときに一番検討しなくてはいけないのが、その基礎に乗っている柱は力を受けているのかどうかです。力を受けていない柱が乗っている場合は、基礎を取ることもできます。しかし基礎は、建物の全荷重を最終的に受けている部分です。いくら負荷が掛かっていないと言っても、基礎をとるという行為はかなり慎重に検討しなくてはいけません。
まとめ
今の戸建て住宅のリノベーションでは、玄関続きの土間を取り入れているリノベーションもちらほら見ますが、恐らくほとんどが基礎を取っていると思います。もちろんきちんと検討している場合は問題ないですが、私たち建築士や現場の大工さんなどであれば、基本基礎を取るという行為は極力控えます。
基礎を取るという事は極力控えた方がいいですが、どうしても取らなくてはいけないときは建物の構造を理解している方に検討してもらう事をおすすめ致します。安易に「取れます」という方は、少し危険です。
私たちでは、中古物件探しから内覧・リノベーションに関するご相談など受け付けています。リノベーションに特化した一級建築士がご対応していますので、お気軽にお問合せ下さい。
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